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93て、人も増えていって、扇状の形の町が作られました。町のまわりに城壁や水路が作られて、町を外敵から防御するようになります。外壁の周辺に風車をいくつも設置して、風車で水を外にかき出す役目のほか、風車のなかには粉を引くものもあり、産業活動としても使われていました。いっぽう町の中心部、ダム広場の中心では魚市場が設けられ、市庁舎が建てられたり、まさしく町のセンターとして使われていました。17世紀につくられた街に着目したいと思います。この時代、当時高級住宅街といわれていたお金持ちの商人たちが住んでいたエリアと、身分の低い人たちやお金があまりない人たち、職人さんたちといわれる方々が住んでいた「ヨルダン地区」と呼ばれる下町エリアが、隣り合うような形で、アムステルダムのダム広場から見て西の方向につくられました。このころになりますと、先ほどお話しました、水際に直接建物が建てられることは無くなり、運河―通り―建物という街並みがつくられました。この通りは当時おそらく荷降ろしする河岸としても使われてたのではないかと思います。近代、湖を埋め立て、湿地帯を干拓して、アムステルダムの郊外部では開発がどんどん進められて街が外側へ拡がっていきます。戦後も開発はすすみ、2000年の時点で73万人ぐらいの人口が住んでいます。京都のように、ひとつの街区の敷地を短冊状に切って、短冊状の敷地が売られました。その短冊状の敷地に建物を建てる場合、「通りから奥行き100フィート、つまり大体30メートル弱までしか建築物は建てちゃ駄目ですよ」というきまりを作りました。さらには「それより後ろの部分は裏庭に、空き地にしてください」ということが当時決められていました。それが今に続いていて、街の魅力にもなっています。一つの事例としてはホテルピューリッツァーというホテルです。ホテルピューリッツァーの場合は、街区内に建つ建物の半分程度をホテルとして使うため、隣り合う建物を通路によってつなぎ、または、裏庭を介して向かい合う建物をつなぎ、回遊できる空間構成を持たせました。室内はスタイリッシュにリノベーションがされていています。別の事例としましては、隣3軒の庭を一つにしてしまって、それを使うという事例や、隣6軒の裏庭を合体させてしまって大きな裏庭にして楽しむという事例もあります。昔決めたルールが今に生きていて、それがすごく街の魅力になっているというのはいいことだなと思います。水と近しい空間づくり緑からまた水に戻りまして、近代に入ると運河の埋め立てがアムステルダムの中心部でもやはりありました。17世紀の急な人口急増の合わせて急造に開発されたヨルダン地区では、水路が本当に排水路みたいで、あまりきれいな水路ではなかったようです。そのため衛生状態が結構良くなく、埋め立てが進められてしまいました。ヨルダン地区で埋め立てられた運河のひとつは今、オープンスペースや駐車場で使われてまして週1回は市場が立ち、人で賑わっています。埋め立てられてしまったんですが、ある意味新しい価値として使われているというのはいいことだなと思いました。オランダは近代以降、車社会になったときに水を考慮しない開発が進められました。しかし、やっぱりちょっと違うんじゃないかという動きが市民の中からありまして「水に近しい空間づくりのほうがやっぱりいいんじゃないか」という考えが1970年代ぐらいから復活するようになりました。ただ1980年代はまだ柵が作られたりしてしまうんですが、アムステルダムだけじゃなくて他の町でもそういう動きが見られました。埋め立てられてしまった道路をまた水路として復活させようという動きがあったりとか、デルフトの近くの町ではもともと飛行機の滑走路だった部分に、新しい意味を与えて一直線の水路を作り、滑走路だったというアイデンティティを何となく残しています。つぎにアムステルダムの港湾地区の再開発です。オランダのランドスケープデザイン事務所WEST8(ウエスト・エイト)がマスタープランを作り、いろいろな建築家たちが参加して地区内の建物をデザインした開発です。デザインコンセプトは、大きな建物を幾つか配置して、その周りに小さな建物(住宅等)を作ることです。ヨーロッパにみられる街の形成のされ方のひとつは、大きな教会があって、その周りに教会に比べると小さな住宅が建てられていくということだと思いますが、どうやらそうした街の形成のされ方からインスピレーションを受けているようです。大きな集合住宅を1、2個つくり、その周りに長屋式の住宅をデザインしていくという手法が採られました。住宅のうち、現代版のカナルハウス、水辺に近いカナルハウスがつくられました。また、開発エリア内にある橋のデザインもWEST8というデザイン事務所が担当しました。その他、ご存じの方もいらっしゃるかと思うんですが、アイブルグ地区という埋立地に作られた開発地区です。アイブルグ地区でもやはり水に近しい住宅をつくっていました。この地区は、お互いのことを知らない、本当に新しい人たちが一堂に住むようなエリアですので、インキュベーションセンターと呼ばれるようなコミュニティ施設を地区内に設け、住民がコミュニティを形づくることができるようなこともしていました。こういう開発によって、住民が増えるというのが統計的にも見て取ることができます。このアイブルグ地区は住宅だけじゃなくて、堤防の部分にもちょっと工夫がされています。れんがで造ったり、石で造ったりと、数種類のタイプの護岸をつくりました。アムステルダム市としても「水」を自分たちのアイデンティティとして残そうよという形で、「ブルーゴールド・アムステルダム」という水に関する指針みたいなものを発表しています。その中でも結構面白いのが、水ストラクチャーマップというのを幾つも作っていることです。「水路の埋め立てが可能、不可能な空間マップ」、「新しく建設予定のマップ」、「エコロジーのネットワークマップ」、「ハウスボートの係留マップ」等、いろいろなマップを作っています。柵が全くない、本当に水と近しいような空間づくりというのがオランダの町の特徴です。なぜかといいますと、たとえばボートで街なかを巡っている人たちがすごく多いなど、水上交通が盛んであるという特徴があるかなと思います。他にも、無料で乗れるフェリーがアムステルダムにはあります。気軽に誰でもフェリーに乗れるという点では特徴あるのではないでしょうか。また、お風呂の船を走ら