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127荒木町はどのようにして発見されたんですか。皆川 荒木町には「荒木町を発見する会」というのが以前ありました。荒木町はかつて大名屋敷だったということで、彼らは荒木町が花街だった名残や町の遺物を探そうということでワークショップを開催していました。私もそこに参加して「この地形は明らかにおかしいぞ」ということで自分なりに調べてみたら、人工的な土手であるとか、もともとの池はもっと大きかったとか、いろいろと事が分かってきて、ますます好きになったのを覚えております。荒木町と同じような坂下町は都内にたくさんありまして、東京の下町あるいは賑わっている商店街というのはみんな谷の底なことに気づき始めました。そうしますと地形を手がかりにすれば東京ではいろいろと見えてくるものがあるなというふうに思ったわけです。「○○銀座」という商店街は大体、坂を下りた谷間にあります。戸越銀座や馬込銀座、目黒銀座など、昭和に作られた山の手の「○○銀座」はみな谷の中の町です。それらの商店街は川を暗渠化して、河川流域を整備してつくられた商店街。それはとても短期間に開発された所が多いのが特徴です。谷間の土地はそれまで利用されていなかった理由に拠ります。本日はありがとうございました。きっかけというところで聞きたいのですけれども、私も学生の頃よく町歩きが好きで荒木町という所を全く知らなくて、たまたま何も知らなかった所を発見して感動してから、当時は建物を見るために歩いていたのですが、これだけ開ける場所があって、ここは東京かっていう。イメージっていう東京と実際の東京の違いを感じたのもそこだったのですね。で、そこから町歩きとかをする醍醐味っていうのはすごく感じたんですね。で、それを踏まえてお伺いしたいのですけど、群馬から都内に仕事で来られて、東京を知らなきゃあかんっていうので歩かれたと思うのですけど、そこの最初のきっかけというか、地形とかここがすごく印象的だ、一番最初の場所ってどこだったのかなって。皆川 自分が勤める会社のある赤坂は、とても凸凹した土地柄で坂も多い。最初は会社へ向かう際、地下鉄の駅の二つか三つ前ぐらいから降りて歩こう、歩いちゃえというのが始まりでした。例えば青山一丁目駅で降りるとか、原宿駅で降りてしまうとか。そこから赤坂まで歩くととても凹凸しているのが分かりますよ。丘の上から谷間に下りると町の風景もガラッと変わる。せっかく下りたのにまた上るとか、坂を避けずに進んでみた。おそらく大きな通りだけを歩いていると、そういう坂や不思議な凹凸地形にも出会わない。多くの方は何となく「いつもの大通りのほうが近いはず」ということで、「その道をそれない方がいい」と思っているのだと思います。自分の場合はたまたま面白がって、坂も恐れずに歩いてみた。思えば東京に来て間もない頃というのは、休日はやることもないので「新宿から品川まで歩いちゃえ」とか、気分で歩いていましたね。田舎から東京に来て楽しくてしょうがなかったのだと思いますが、当時はまだ東京の友達もいないし、なじみの場所やいきつけの店もない、といった感じでした(笑)。ありがとうございます。その脇道にそれたらという話はやっぱりすごく共感できて、特に車で移動しているとそういうことに気づかないですよね。電車、特に東海道線などに乗っていて川をまたいだときに一瞬だけ、例えば古川の所の屋形船群などがちらっと見える瞬間は結構テンションが上がることがあるんですけど、インフラのでき方と地形のでき方というのは都市を移動していく中での体験としては結構面白いところがあるんだなという印象を持ち、感動しました。皆川 鉄道は急な坂を上ったり下りたりすることに限界があるので、勾配は比較的緩やかです。山の切通しがあったり、高架や橋が架かっていたり。だから、鉄道の車窓の風景を見ていると地形の起伏を発見しやすいんです。例えば丸の内線は地上から浅い所を走っているので、山の手台地の谷戸では地上へと出てしまいます。思い出してみて下さい。丸の内線で地上にある駅は茗荷谷駅と四谷駅です。どちらの駅名にも「谷」が付きますよね。後楽園駅でも地上に出ますが、あそこは小石川という川が流れていた場所だからです。考えてみれば銀座線も同様で、「谷」の付く渋谷で地上に顔を出します。地形的には、東急東横線も面白いですよ。山の手の凹凸地形を串刺しにするように走るので、渋谷駅は谷間、代官山駅はトンネル、中目黒駅は目黒川の沖積地なので高架駅、といった具合です。その先の学芸大学駅は丘の上、都立大学駅は呑川の川跡だから高架駅。そして高級住宅地の田園調布駅はやはり丘だから地下駅なのです。自分は大学が地理学科だった者で、よく町も歩いていたのですけど、町を歩くときに自分たちはやっぱり地図や地形図などを片手に持って歩くことがすごく多かったです。スリバチ学会では町を実際に歩くときに必ず持っていくようなものとか、それから予習や復習みたいなことをして出掛けられるのか、何か学会っぽいことをされているのでしょうか。それとも単純に何もなしで、予備知識なしでいきなり行ってみてそこを楽しむ、というふうにされているのか、ちょっと知りたいです。皆川 フィールドワーク前には下調べをしない、と先ほど言いましたけれど、大勢で出かけるイベントの場合、さすがにそのままぶっつけ本番だとみんなを困らせることになるので一応地図を見て予習はしています。僕が使うのは、国土地理院が出している1万分の1地形図です。今は新規発刊が停止されてしまい、「電子国土」というデジタル地図に引き継がれていますが、1万分の1地形図の方が美しいので、相変わらず使っています。それから、カシミール3D を使うと、地形の凸凹感も大よそ把握ができるので、どのルートを歩こうかなぐらいの当たりは事前につけておきます。そしてスリバチ学会に参加された方は分かると思いますが、目的地にはほぼ予定通りの時刻に到着しています。こう言ってはあれのですが、私は自分のことをニュータイプだと思っていまして、どこに行っても北が分かるという感覚があるのです。ですから地図を持てば迷わずに歩けると