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126本日は、このような講座形式で東京と横浜のスリバチ地形を紹介してきましたが、「こんな見方もあるのだな」というふうに思っていただけたら幸いです。本日紹介したことを思い出していただき、ご自身が住む町、あるいは通勤途中にある町の窪みを辿ると何かあるかもしれない、意外な発見があったりするかもしれませんね(笑)。そのちょっとした気づきや発見が、実は大きな「何か」につながっているかもしれませんよ。小さな発見が、実は真実や真理に繋がっている、これが「スリバチは海へのプロローグ」のもう一つ深い意味なのです。この写真のように、元町公園に下りていく少女から『明日に向かって走れ』という昔の映画のタイトルをもじって「谷に向かって走れ!」ということばをさいごに残したいと思います。谷間に下りるって誰でも抵抗がありますよね。坂道を上ったり下りたりするのは実生活では非常に面倒くさく、どうしても避けてしまいますが、この講義でご紹介したように脇道にそれると何か普段気が付かないものが実は待っているかもしれませんよ。その大切さに気づいていただいて、谷間に足を向けると世界が広がるんじゃないかなと勝手に妄想しております。こんなことを紹介しながら2014 年はおそれ多くも東京スリバチ学会の活動がグッドデザイン賞を頂きました。これが町歩きや町の魅力の再発見の一つの手法になり得ることを評価して頂いたものです。賞をせっかく頂いたので、その取り組みや手法を広く伝えられればと、去年は多摩武蔵野スリバチ学会を立ち上げ、続いて千葉スリバチ学会、埼玉スリバチ学会と立ち上げに係わりました。関西方面では大阪高低差学会が2年ほど前に立ち上げられていますが、昨年には京都高低差崖会や神戸高低差学会も設立されました。いずれも地元に住む人が中心となって立ち上げられたものです。NHK の人気番組『ブラタモリ』の影響もあって、ちょっとした地形ブームなんだと思います。さらには「あいちトリエンナーレ」のイベントとして、スリバチ学会的な町歩きがきっかけとなって、名古屋在住の方々が名古屋スリバチ学会を立ち上げました。ということで、本日会場にいらした中の皆さんから横浜スリバチ学会、あるいは神奈川スリバチ学会をぜひ立ち上げていただけたらとも思います。横浜スリバチ学会は、やっぱり横浜を愛する方々が立ち上げるべきだと思っています。群馬の田舎者が立ち上げたら、みなさん怒りますよね(笑)。ということで、ご清聴どうもありがとうございました。************************スリバチを感じるときに、「ここは見たほうがいいぞ」とか、「ここは絶対ちょっと気にしといたほうがいいぞ」というのが何かあれば教えてください。皆川 横浜を結構歩いている方ってどれぐらいいらっしゃいますかね。意外と地元の人も歩かないかもしれないですね。スリバチを感じる、地形の起伏に気づくためには、満遍なく歩くしかないかもしれませんね。あと、ここだけの話ですが、入れそうな場所は、一人だったら入っちゃいます。捕まらない程度でけど。例えば団地の階段など、ちょっと上ったりして、谷を見下ろして満足しています。さすがに大勢で歩くスリバチ学会のイベントではそういうことはやりませんが。きょうはすごくたくさん名言を頂きました。それから、本流といいますか、そこから脇に入るといろんな世界が待っているっていうのはすごく面白いなと思いました。私も東京・谷中を歩いたとき、それこそまさに蛇道を歩いたときに「ここは何なんだ」「なんでこんなくねくねしているんだろう」という気持ちにすごくなりました。そういうところからやっぱり町歩きが好きになっていったと思います。皆川 「脇道にそれてみたらそこはスリバチだった」。なかなかいい言葉ですよね。谷中のへび道も、「なんでここだけこんなクネクネした道が唐突にあるのかな?」とまず疑問に思いますよね。きょうはその谷中の詳しい話はできなかったのですが、あそこも地形的なドラマも隠されていたりして散策にはお勧めですよ。すみません。個人的なことなのですが、生まれ育った幼少の頃の記憶の中の風景はやはり今のような体験だったのですか。皆川 いや、群馬県の前橋市という所はほとんど平らな町です。利根川の河岸段丘が若干ありますが、スリバチ状の地形はないですね。スリバチ状の地形が多いのはやはり東京・横浜の特徴だと思います。ですから、その特異な地形は自分たちの、といいますか、町の財産じゃないでしょうか。どんな場所にもその土地ならではの地形的な面白さは確かにあるのですが、東京・横浜ほど凸凹している場所というのはなかなかないと思います。それから、都市開発をした時期というのがたまたまこの地形を使うというふうになっていましたが、これから先ますます技術を使うことによって、もしかしたらその開発者たちへのメッセージというのが書けるんじゃないのかなと思うのですけれどもいかがでしょうか。皆川 私がメッセージを発信しなくても、やはり自然の力はメッセージを自分たちに発信しています。私は今、仙台に住んでいますが、東北はたびたび地震に襲われていて、新興住宅地の土地が地震のたびによく崩れています。これは東京でも話題になっていますが、地滑りを起こした所は、例えば谷間を埋めたとかそういう場所が多いんですよね。ですので、今では必ず昔の地形図を公表しなきゃいけないという取り組みを自治体が始めています。みなさん多分お気付きだと思いますが、昔の地形を強引に、例えば人為的に造成してもやはりなんらかの反作用といいますか、土地は履歴を覚えているのですね。ですから土地をいじった時は、それなりの覚悟が必要なのだろうと思っています。